CAVE

IMG 7238 CAVE

20歳の夏からインドを旅している。

歩道に垂直に所狭しと寝ている人達と車道を横切る牛。
使い過ぎて風船のようにツルツルになった溝が無いタイヤ。
自転車で得体も知れない巨大な物体を運ぶ痩せた男性。
陽が沈むとお決まりの停電、その後の一瞬の静寂、の後の発電機の音。
大雨の後は簡単に5センチくらい浸水する街をサンダルで歩く日常。
窓が無いドミトリーで、上段ベットのマラリアを患ったルームメイト。
旅の2日目で早くもやられた私の胃腸。

そこで出会った、強烈なすべての感触。

私の建築設計は、旅の記憶。

人、動物、そして自然が生々しく共存した世界。

人間の根源的な住まいの原風景を求めて、
私の建築をCAVEと名付けた。

あの夏のインドの騒然、静寂、におい。

猛暑の中、バックパックを背負って、
歩き疲れてクタクタの、私の背中を冷やしてくれたあの風を、

今もしっかりと覚えている。

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