心の底から温かい空気が湧き上がってくるような主人。
いつも笑顔で家族を包み込む奥さん。そして宝の四人の子供たち。
この家族のための家。
会話を重ね杯を交わし、そして極上の海の幸をいただきながら何度も何度も案を練った。
次第にこの家族のための空間が現れ出した。
設計行為としては、いくつかの流れが存在する。
この空気のような流れを読み取りながら我々の建築はつくられる。
ひとつは土地、場の持つ力に導かれるようにイメージを生み出す流れ。
そして家族の心の映像を反芻しながらイメージを生み出していく流れ。
双方を行ったり来たりしながらイメージを形作っていく。
この家では施主の深いご理解のもと、設計期間を豊かに確保して頂いた。
もの作りにおいて、締め切りなるものは誤解を畏れずに言えば存在しえない。
思考を区切ることなどできないのだから。
限られた予算の中で様々な建築の制約の中で、完成するその日まで毎日思考する。
家族の温かい声援と励まし、そして海のような大きな心に包まれながらこの建築は完成した。