四国の設計作品【 心療内科クリニック〜やさしい居場所 】作品公開いたしました。
『頭をガーンと殴られたような感じでした。』
先日、私からのプレゼン説明を一通り終えたのち、オーナーさんが発された一言。
この心療内科クリニックのプロジェクトでは、色んなことを想いながら仕事をさせて頂いた。
この建築は誰のためのもの?誰が喜んでくれる?誰がどう動く?と、
駆け出しの頃から自問自答しながらずっと建築を考えているが、建築は経済と密接に絡んだものである以上、
まずもって建築は第一義にオーナーさんのためのものである。
でも、確かにそうなんだけど、所有権はオーナーさんのものでも、本当にこの建物を必要としているのは、一体誰?誰が喜んでくれるために、この建築をつくるのだろうか。
表面的なリクエストにだけ応えるのではなく、建築をつくる意味をよく考えて、具現化することこそが、結果的にはオーナーさんが真に求められていることであると、この仕事をやってきた経験上、そう感じている。
プランや空間を、こうして、ああして、デザインは今時の感じで、、、などなど。
色んなオーダーはあったとしても、一体誰のためのデザインなのか、そこを考える。
建築の設計とは、デザインという目に見えるものと、建築の時間軸、目に見えないものを見る目、その両目を見開いて、無数の様々な事柄を整理決定していくものだ。
目に見える間取り、デザイン。目に見えない空気、光と陰。
つまり全てはコインの裏と表である。
そして、目に見えない根や幹の部分が最も大切で、そこがしっかりしていれば、
生き生きした芽や美しい花は、放っておいても勝手に咲いてくれる。
いや、勝手に、花は咲いてはくれぬ。。
実際には、添え木をして、肥料をやってと、手取り足取り、設計の手当てが必要とはなる。
このプロジェクトは、云うまでもなく、患者様のための建築であり、患者様が快く、安らかに、くつろげるような、そんな空間、建築をつくるべきだと強く想い、オーナーさんから既にオーダーされていた事柄を当然満足しながらも、さらにその枠を遥かに超えた提案、
究極的にはオーナーさんのためではない、患者様のための建築をつくりたい、と私の構想を打ち明けた。
そんなプレゼンを経ての冒頭の一言である。
本当に必要としているひとへ届くような建築を。
この建築が悩めるお方の、ほんのすこしの灯火になりえたら、ほんの少しのお手伝いができたら嬉しい。